ゲーム媒体で笑う


『珍道中!ポールの大冒険』(wiiウェア 500wiiポイント セガ

山田小の武藤君3年生が作った「それいけ山田小大爆破2009」といったところのこのゲーム。

ギャグというものが、なんというかゲームという媒体でなくてもいいものも少なくない。
つまりゲームの世界観とギャグの位相がずれちゃっているのだ。

むろん、8ビットゲーム機特有の画面ズレや、
強制的に1面に戻される的無情さなどもちょいちょいあるので、
そこはあ、ゲームのパロディだなと
感じられる(プレステ以降の人にはわからない?!)

ただ、
点数になるリンゴを取ろうとすると、
硬いからか「コツ」って音が鳴って
ツッコミが入るくだりなど、
そういうあたりは、何というか、何なんだと思う。
そもそもアイテムが何の根拠もなく浮いているのだ。
そう、だからこのゲームは、
リテラシーのいい加減な小学生が作ったゲームと
思いこんでいいかと思うのだ。

ただし、
僕の妄想小学生とこのソフトの結果の違いは
「ウケル」といったポイントに収束していくゲームを
おそらく小学生は作らない事だと思う。
もっと破天荒に話は膨らみ、泣けて笑えてがっかりさせられる。
壮大なのだ。

それをみうらじゅんが、語り部として立つ時に、
笑える話として落ち着くだけで、
やっぱり小学生はゲームとして成り立たせたい気持ちでいっぱいなのではと思うのだ。

結局、
ゲームという媒体を使ったギャグなんだろうなー
と思わざるを得ないところ。

ゲームにおいては、
笑いはあくまで一要素で、
だからこそ味わい深い。
爆笑の連続となると、さあどんなゲームを作ればいいのか。

レンタヒーロー」は、間違えて届いた変身スーツを着て小銭を稼ぐヒーローもの。
セガガガ」は、セガという会社を立ち直らせるシュミレーションRPG。
「いっき」「超兄貴」は、絵柄。
せがれいじり」「スイッチ」など、シュールで突発的なギャグもの。
スペランカー」は、独特なゲームロジックが他のそれとやたらズレていることのオカシサ。(4ドットから落ちて死ぬとか)
たけしの挑戦状」は、テレビゲームの破壊みたいなこと。(ソフトを爆破で来たらホント最高なのに)
最近では
「集まれピニャータ」の、キャラクター解説がかなりおかしいらしい。(洋ゲーの設定の不可思議さは十分面白いものだ)

笑いを提供してくれるソフトは、あるのだが、
ゲームソフトなりの、笑い美学みたいなものは
ぼんやりとあるとは思うのだ。
(このリストは色々作れるだろう。)


<宣伝>
「笑激の問題作」とか「オバカアクション」「ギャグベンチャー」、、、
笑いをやる際にこういう宣伝文句は無謀だと思う。

プロデューサーのプロフィールに
「〜関西出身ということもあり(?)お笑いには厳しいつもり〜」
「むちゃぶり」というバラエティ番組があるが、
ほとんどそれに近い。セガの宣伝はすべること含みなのか。
いやそれにしてもひどい。

緩いツッコミ、が面白い!っていうのは、
基本面白いという基準があって(そう信じて)から使える話で、
本編に力をいれていない(実際やってもそう思う)本ゲームにおいては、
言い訳にしか聞こえない。
なんかもうぐじゃぐじゃである。

「面白いよ」と触れ込んで人を呼びつける事のリスクを
ちゃんと考えてほしい。


<つまり、、、>
ゲーム好きの人って……という偏見があっても別にいい。
しかし、変なものが流布すると、なーと思う。

「笑い」という社会性のある要素を取り入れることは意味があるのだけど、
下手すると、だれも救ってくれない、事になるじゃないか、
と思って色々思うのだ。

ゲームで笑うってこともあるし、
その感受性はいいもんだと思う。


応援もしにくいが、
なんとか、何かを食い止めたい、
気になってしまうのは、まったく余計なお世話である。
「オマエ誰やねん」
ほんとである。